主婦のどさ回り〜柴又編〜

持ち物の生前整理と、下町暮らしと読書日記

容量オーバー

まだ若かったころ、と言っても結婚してからの話なのだが、びっくりするようなオンボロの社宅に住んでいた。
工業地帯にほど近い、当時でさえ築40年は軽く越しているような団地。

間取りが狭く、普通に家具を置くことができない。必然的に色々なものを諦め、捨てることとなった。
家というハコが小さければ、それに見合う持ちもので暮らさなければならない。

皆一様に狭い社宅に住んでいるものだから、持ち物をどう収納するかということが自然に話題になる。

台所が狭すぎて、食器棚どころか調理器具も満足に置けない。夫の立場上将来的には来客も多くなるので、食器を処分することもできないからと、6畳の畳の上に食器棚を据えたという人もいた。

その頃には嫁入り道具の食器棚をさっさと手放してしまっていた私はそんなものだろうか、と一抹の不安を覚えたのだが、杞憂に終わった。今に至るまで来客用の食器で困ったことはない。そもそも普段の生活も来客のために家財を用意しているわけではないので、同じ理由で客用布団も早々に処分した。多くても年に数回しか宿泊までする客はないだろうし、それなら貸し布団を利用すれば済むことだ。

むしろ来客があったら、来客のためにと多からぬ収納スペースを割くことができる人は大変慈悲ぶかいのだろうと思う。
私は無慈悲な人間なので、家族の持ち物をなんとかしまいこんで、それ以外の居住スペースを圧迫するものは容赦なく捨てていく他はないと思っている。